庭で美しく咲き誇るバラを見ると、 このバラを植えてよかった~、と喜びにひたる。けど、それに出会ったがために、 もっと素晴らしいバラを植えるチャンスを逸したかもしれないなんて、 考えもしない。
10年間育てたカシワバアジサイに、 テッポウムシが入って、枯れてしまった。 庭の景色の一部として大切で、お気に入りだったのに。
それを失ったことで、庭がまた別の姿に代わるチャンスかもしれないし、 もっとかけがえのない大きな樹木にその虫が入るのを カシワバアジサイが犠牲となって防いでくれたのかもしれない。
そんなふうに、「もし」を積み重ねるのは屁理屈に思うかもしれないが、 今眼の前に起こっている現実を注意深く観察してみれば、
運命とは、 そんな無数のコントロールできない「もし」に紡がれた結果なんだと思う。
そして、そのことに私たちの感情が振り回されてしまうのは、 実際には起こることのなかった「もし」を 私たちはとらえることができないからだ。
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