ナエマの隣には、マダム・フィガロ。やはり、ナエマと同時期に植えたものだ。
植えた当初の花は、顔色が悪く、 枝は細く柔らかで、 雨や強風のために、
房状の花とつぼみの重さに耐えきれず、 枝がいとも簡単に寝てしまったり、 場合によっては折れてしまったことさえある。
それに引き換え、隣のナエマがあまりに旺盛、 しかも、人目を惹く鮮やかなピンクの花をたくさんつけるので、 愚かなことにこのバラの魅力を理解できなかった。
でも、ここ数年、株の成長とともに、 花が本来の発色を見せてくれるようになると、 品があって深みのあるピンクに魅了されるようになった。
特に切り花にして室内で鑑賞すると、 日中のまぶしい光の中にいた時とはまた違った、 穏やかな薄ピンクの花は、 ほんの数滴の赤ワインを溶かし込んだような深みを帯びる。
今、庭にあるバラ達の中で一番好きなバラだ。
Madame Figaro マダム・フィガロ
