Quatre Pietas 4つのピエタ

Quatre Pietas 4つのピエタ
今回のイタリア旅行では、
各地にあるミケランジェロのピエタ像を巡ってみた。
ピエタのモチーフは、
十字架から降ろされたキリストと聖母マリアだ。
パレストリーナのピエタは、
フィレンツェのアカデミア美術館に展示されていて、
未完成も未完成、
作品とは言えないが、
製作過程をがうかがえるということで、
興味深い。
が、鑑賞に堪えるのは他の3つのピエタだ。
そのうち、
年代別にはまずヴァチカンのサンピエトロのピエタ。
一見して3つのピエタのうち一番均整がとれていて美しい。
この像をバチカンに売りつけたときに、
教皇はそれは(今の値段でン千万円)高過ぎるといった。
すると、若きミケランジェロは、得をするのは教皇、あなたですと。
教会が損得で作品の値踏みをするのはおかしいけど、
いま、世界各地からこれを見ようと、
世界各地から人々が訪れている。
ミケランジェロの言ったことは本当に本当だった。
フィレンツェのピエタは、それより半世紀近くあとの作品だ。
こちらの作品は見るものに迫力をもって訴えかけている。
でも、よく見ると
あれっ、人物の縮尺がちょっとおかしいんじゃない?
やけにキリストだけ大きい。
向かって左の一番小さなマグダラのマリアは
後世の修復が原因で極端に小さいともいわれるが、
それを除いても、ちょっと変?
ほかの登場人物に比べ、キリストの頭は特に大きい。
人間の心のなかに映る情景というものを、
見事に表現すると、きっとこうなるんだろう。
遺作となった、ロンダニーニのピエタはもっと変だ。
事前の予習では、
この棒立ちに見えるキリストと聖母に、
目もほとんど見えなくなったミケランジェロの
遺作といより駄作だろう、と思ってしまっていた。
一見したところ、前2作品に比べて、
のっぺりしていて迫力もなく、従って印象も薄い。
しかし!しかし!
もとは力なく前のめりのキリストを、
後ろから聖母が抱きかかえる構図だったものらしい。
その方が、自然な構図なんだろうけれど、
製作途中でそれを、
この棒立ちになった変な構図に意図的に変更したんだとか。
キリストの右腕が
カットされたそのままの形で残されている。
どうしてだろう?
よくみると、十字架から降ろされたキリストが、
それによって贖った世界の罪や苦悩を
その一身に背負っているように見える。
キリストが亡くなった悲しみより、
むしろ、賛美と希望を
見るものに感じさせる偉大な作品だ。
ミラノのスフォルツェスコ城にあるこの美術館には
この作品しか置いていない。
でも、わざわざこれだけを見に行く価値は十分にある。



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