ミラノを訪れたのは、ちょうど一年前。観光客でごった返していて、
今のミラノの姿を想像だにできなかった。
いや今年の1月の時点でも、だれも想像していなかっただろう。
それが、コロナウイルスのせいで、
今やレストランや観光施設はもちろん、
ほとんどのお店が閉鎖された死の街になってしまった。
1人の人が5日後に平均2人に感染させると仮定すると、
10日後には4人、15日後には8人が発症する。
最初は大したことないと感じるかもしれないが、
これを繰り返していくと60日後には合計8千人を超え、 2か月半後にはなんと3万人を超える。
1人の患者が平均何人に感染させるかとか、 いったい患者の現在の実数がどのくらいなのかは、
今はわかりようもない。
指数を英語ではパワーというけど、
イタリアの惨状は まさにコロナウイルスの力ずくの恐怖だ。
それを感じからロックダウンしてももう遅い。
その効果が出るのは、その約2週間後だ。 この2週間の間にロックダウン以前にうつされた患者が次々発症する。
だから効果が出るのを待つ間に、 指数関数のパワーをとことん思い知ることになる。
翻って日本では、 この3日間連日、新たな感染者が500人以上発生している。 ここに至ってやっと政府は緊急事態宣言を発した。
それがどの程度の効果か、2週間後にわかると思うけど、 いずれにしろやっぱりもう遅い。
科学が公平ならば、来週には毎日1000人の患者が発生し、 累計の患者数は1万にのぼる。
そして、現在、全例検査ではないので、 ある程度症状が強く出た人だけが、この数に含まれている。
今でさえ首都圏の医療がひっ迫しているのに、 来週以降どんなことになってしまうのか、 想像するだに恐ろしい。
イタリアの惨状の中に すぐそこに迫った日本の姿が見える。
Milan, une ville de la mort 死の街ミラノ
